皆さまこんにちは。磯貝です(^^)
所有地を第三者に賃貸する場合は、その対価として地代を受けるのが一般的です。
でも中には、賃借人が奥様やお子様だったりと、身内だからという理由で、
地代を受け取らずに無償で貸してしまっているケースがあります。
「身内にタダで土地を貸して何が悪いの?!」
と思われるかもしれませんが、
実は、土地を無償で貸していると、
相続が発生した時に、高額な相続税が発生することがあります。
これから2つの事例をご紹介しますね。
台東区にお住まいのA子様(65歳)は、5年前にご主人様を亡くされた際に、
ご主人様が所有していた土地を相続しました。
その土地にはA子様名義の賃貸マンションが建っていましたが、
夫婦ということで借地契約を交わしておらず、
地代も一切支払っていませんでした。
これを「使用貸借」といいます。
結果、高額な相続税が発生してしまいました。
地代を徴収して、貸し出している土地は貸宅地とみなされるため、
相続税評価が5~6割程度、軽減されます。
反対に、地代を徴収せずに貸している土地は、
貸宅地とは認められないため、相続税の減額措置は受けられません。
A子様は後者のケースに当てはまり、約4000万円という
高額な相続税が発生してしまいました。
現預金は2000万円しかなく、納税額には足りませんでした。
悩んだ末、A子様はマンションと土地を約7000万円で売却し、
どうにか相続税を納めました。
結果的に、現金5000万円が手元に残りましたが、
マンションとご主人様が残してくれた土地を手放すことになり、
『マンションを建てたのは、相続税対策のためだったのに、
それが結果的に仇となってしまいました。
最初にきちんと専門家に相談しておけばよかった・・・』
と後悔されたそうです。
こちらも「使用貸借」とみなされ、高額な相続税が発生した事例です。
江東区にお住まいのY美様(56歳)は、3年前に他界したお父様の土地を相続しました。
その土地にはY美様のアパートが建っており、
Y美様はお父様に対して若干の地代を支払っていました。
A子様のケースと異なるのは、わずかながらも地代を支払っていたことです。
でも、結果的にY美様が相続した土地も、貸宅地として認めてもらえず、
高額な相続税が発生しました。
なぜ、地代を支払っていたにも関わらず、Y美様の土地は貸宅地として
扱ってもらえなかったのでしょうか?
原因は地代の額にありました。
お父様は、もともとY美様に対し無償で土地を貸そうと考えていたそうですが、
知人から、『タダで貸すと、相続の時に大変だよ!』と聞いて、
固定資産税程度の地代をもらうことにしたそうです。
これで貸宅地として認められるはずと思っていたのですが、
ここに落とし穴がありました。
明確な基準はないものの、一般的に貸宅地として認めてもらうためには、
固定資産税の2~3倍程度の地代を徴収する必要があると言われています。
つまり、Y美様は地代を支払ってはいたものの、その額があまりにも
少な過ぎたため、貸宅地として認めてもらえなかったというわけです。
幸いY美様は個人事業で成功し、十分な蓄えがあったため、
相続した土地を手放すことなく、納税することができました。
『土地は祖父の代からのものだったので、私の代で
手放すことにならなくて本当に良かったです!』
と安堵しておられました。
皆さまも相続に関してお困りの際には、お気軽にお問合せ下さい。