こんにちは。磯貝です(^^♪
マンションやアパートなどを管理する際に、
入居者の入れ替えの際に発生するのが、
「原状回復義務」です。
賃貸物件で貸し出すとどうしても内装などに傷みや汚れが発生します。
過去に対して、どこまでが入居者様負担で、
どこからがオーナー様負担となるのか。
判断の視点は、
「経年劣化によるものなのか」
「原状回復義務の範囲に該当するか」
です。
不動産経営における原状回復とは
マンション経営をするにあたっては、
トラブルにつながる可能性もありますので、
さまざまな不動産管理の知識が必要です。
不動産経営で入居と退去の際に確認する必要があるのが、
「原状回復と原状復帰」です。
「原状復帰」は建築用語で、つまり、元の状態に戻すための行為。
「原状回復」は法律用語で、入居契約時の状態に戻すための行為。
不動産経営をしていく中で、よく使われるこれらの言葉ですが、
建築的な意味で使うか、法律的な意味で使うかなど、
使うシーンによって意味合いが異なってきます。
さらに、同じような言葉で「現状復帰」がありますが、
これはまた別の概念で、現状とは、現在の状況に戻すことを
意味しますので、退去時に使う表現ではありません。
参考)東京都『賃貸住宅トラブル防止ガイドライン』
賃貸借契約は、オーナー様と入居者の双方の合意に基づくものです。
でも実際には、オーナー様と入居者様のいずれの負担になる状態に
あるかを明確にすることは意外と難しいです。
東京に居住する世帯の4割ほどの約270万世帯が賃貸住宅に住んでいます。
トラブルに関する相談内容としては、
退去時の敷金の計算が38%、管理(修繕を含む)が12%もあり、
約半数を占めています。
このような状況から、東京都でも退去時の敷金精算や、
入居期間中の修繕等の紛争防止のため、
賃貸住宅紛争防止条例の施行(平成16年10月)により、
「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン~概要~」が作成されました。
主な内容としては、
〇退去時の住宅の損耗等の復旧(原状回復の基本的な考え方)
〇住宅の使用及び収益に必要な修繕(入居中の修繕の基本的な考え方)
〇実際の契約における賃借人の負担内容(特約の有無や内容など)
など、わかりやすく解説されていますので参考にしてみて下さい。
(出典 : 東京都住宅政策本部「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」)
参考)国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』
国土交通省は、賃貸物件の退去時の原状回復に関するトラブル防止を目的に、
原状回復時の費用負担のあり方などがガイドラインとして示しています。
ガイドラインは個別事例ではないのであくまでの基準ですが、
賃貸借契約締結時には参考となるでしょう。
既に、入居者との賃貸借契約がある場合は、その契約書が有効と考えれば、
その契約内容に沿った対応が必要です。ただし、契約書の内容が曖昧な場合、
契約締結時に何らかの問題がある場合は、このガイドラインを参考にしながら
対応を進めていくことが必要です。
法的な拘束力はありませんが、現時点で妥当と考えられる基準が示されていますので、
一般的な内容ではありますが参考になりますので、一度目を通しておこくことをおすすめします。
<関連情報>
・「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」
・「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)のQ&A
(出典:国土交通省ホームページより)
大家さんと入居者の負担分配の考え方
次の人に物件を引き渡す前に、快適に居住できる環境に戻す作業が必要です。
これが「原状回復」となりますが、実際的にマンション経営者(オーナー)様と
入居者様ではどのように負担を区分する必要があるのでしょうか。
例えば、以下のような例をみながら検討してみましょう。
大家さんと入居者の負担区分の一例
部屋の設備 | 経営者(大家)の負担 | 入居者の負担 | |
鍵 | 次の入居者のための鍵を新規作成 | 不注意で破損・紛失した場合 | |
壁のクロス | 冷蔵庫等の後ろの壁に電気焼けなどの黒ずみができた場合、日焼けによる変色の場合など | 結露などを放置したことで発生したかびや染みの拡大喫煙等の要因による壁紙の変色の場合など | |
床 | 家具等の設置で傷や凹みが発生した日焼け等で畳などの変色ワックスの剥がれなど | 引っ越し中に傷を作ってしまった不注意で発生した染みや故意に傷をつけた場合など | |
建具・ 窓 |
災害等での破損 | 故意や不注意での破損 |
上記のように、負担区分の判断は、
「普通に生活していても発生する汚れや損傷」と
「生活のなかで注意や掃除を怠った場合に出る汚れや傷」
といった違いがポイントです。
経年による劣化や自然現象によって起こる劣化について、
経営者(オーナー)様の負担となります。
なお、マンション経営でいうところの「経年劣化」とは、
年月が経つにつれて物件自体の品質が下がることを意味します。
例えば、窓から日光があたると壁や床が色あせる場合があります。
湿気があると結露やかびが発生する場合もあります。
このような時間の経過で自然と劣化するのが経年劣化です。
経年劣化で起こるものなのか、現場を確認しながら、
入居者と適宜確認しながら行うことが、
退去時にトラブルにならない為には重要となります。
退去時に原状回復に関してトラブルが発生すると、
その後の賃貸経営に支障が発生することにもなりなりかねません。
日頃から不動産管理について相談できる地元の業者さんなどを
探しておくことも重要ですね。