実測売買と公簿売買の違い

皆さまこんにちは。磯貝です(^_-)

 

不動産の売買には、「公簿売買」と「実測売買」という契約方式があるのをご存知ですか?

 

登記記録上の面積を基準にした「公簿売買」と、

実際に測量した面積を基準にした「実測売買」の2種類があり、

それぞれの面積をもとに価格が決められています。

 

ただし、登記記録上の面積と、実測面積が同じとは限りません。

法務局に登記されている面積なので、正しい面積に違いないと思いがちですが、

測量をした実際の面積(実測)が、登記簿の面積よりやや広かったり、

逆にやや狭かったりする場合が少なくありません。

 

今回は、土地の売買における「実測売買」と「公簿売買」の違いについてお話しますね。

 

 

 

「公簿売買」とは?

 

★確定測量を行わずに引渡す

登記記録に記載されている面積に基づいて売買価格を決め、契約を締結し引き渡します。

仮に契約締結後に買主が確定測量を行って、その面積が登記記録の面積より小さかったとしても、

「売買価格の増減はしない」「精算はしない」とするものです。

 

★売主による確定測量実施後に引渡す

契約締結後、売主が費用負担して確定測量を行った上で引渡すケースです。

ただし、登記記録面積と確定測量面積に差異が生じても、精算は行われません。

 

★更正登記後に契約する

物件を売出す際に、売主が確定測量をして、その面積を登記(更正登記)しているケースです。

確定測量した面積で登記し直されているので双方に差異はありません。

新築戸建てや建築条件付きの分譲地などに多いパターンです。

 

実際の売買契約書や重要事項説明書には、下記のような内容を盛り込み、

面積に誤差が生じても異議申し立てしない、売買価格を変更しない、

という旨を記載して、売主及び買主にあらかじめきちんと説明しておくことが重要です。

 

 

(売買対象面積)

第〇条 売主及び買主は本物件の対象面積を標記面積(          )とし、

実測面積との間に差異が生じても互いに異議を申し立てないとともに、

売買代金増減の請求をしないものとする。

 

買主がその意味をよく理解しないまま契約してしまって、

後になって『面積が違う!』などと、トラブルにならないようにしましょう。

 

現実には公簿売買による取引が多いのですが、

法務局に備え付けられている地積測量図や過去の建築時における現況測量図など、

ある程度面積を推定できる資料や図面が無い場合には、

たとえ費用がかかったとしても実測を求めた方が賢明です。

また、比較的新しい地積測量図であれば、現況を正確に表してありますが、

古い地積測量図の場合には、信頼性が低いこともあるので注意が必要です。

 

 

「実測売買」とは?

 

実際に測量して得られた実測面積をもとに価格を決定して行うのが実測売買です。

実測売買は、実際に土地の広さを測量して価格に反映させるため、

当事者間でのトラブルが生じにくくなります。

ただ、実測をする際には、土地家屋調査士に依頼する費用や、

時間がかかる点がデメリットとなります。

測量のための費用に関しては、売主と買主のどちらが負担しても構いませんが、

一般的には売主が負担することが多いです。

 

信憑性の高い地積測量図などがない場合には、

測量結果を図面にした実測図(測量図)を作成することが必要です。

実測図には、確定実測図(確定測量図)と、現況実測図(現況測量図)があります。

 

 

<確定実測図>

隣接地の所有者や、前面道路などを管轄する国や地方公共団体の立ち合いのもと、

境界確認を行い、全員の承認印を得て作成された図面が確定実測図です。

ただ、かなりの長い時間がかかってしまうこともあり、

また、隣接地の所有者が、確認や承認に協力してくれないケースもある為、

全員からの承認が得られずに確定実測図が作成できない場合もあります。

 

<現況実測図>

隣接地との境界だけを確認して作成した測量図や、

その時点での土地の状況を測量して作成したものが現況実測図です。

不動産取引が行われる際に、確定実測図を用意することが難しいことから、

現況実測図を用いて取引をするケースも少なくありません。

 

土地家屋調査士が確定実測図を作成する流れとしては、

まず現地調査をして測量を行います。

必要に応じて、隣接地の所有者との調整、交渉もお願いできます。

承認を得て境界が確定したら、境界杭を埋設し、実測図を作成します。

確定測量にかかる費用は、100坪以下の場合、約50~80万円程で、

官民立ち合いが必要な場合や土地の面積が大きいほど費用も上がります。

 

 

公簿売買と実測売買、それぞれメリットやデメリットがあります。

実測売買は測量に時間と費用がかかるものの、正確な面積を測った結果をもとに

売買するため、トラブルを避けるためにはより確実な方法だと言えますが、

登記記録上の面積が、実際の面積と違う可能性があるかどうか、

測量費用を負担しても売却するのにメリットがあるのかなど、

さまざまな状況を検討しながら決めることが大切です。

 

そして、契約当事者がその意味やリスクを理解できるよう、

きちんと説明をしてくれる信頼できる不動産会社へ仲介を依頼しましょうね。